剥脱性口唇炎の症例~その2~

2018年10月ごろから前任者が担当していたものを退職に伴って2019年から僕が担当し始めた症例。

最初のころは、口唇の皮の乾燥が強く、剥がれる前にガサガサになっていた。しかし皮自体の着色はさほど強くなく、凸凹した形にもなっていないため、津液の汚れなどはないと考えることができる。口唇の血色も悪くないことから瘀血はあまり考えず、とにかく口唇の皮が乾燥する原因を徹底的に追及していくことにした。

そこで滋潤系の漢方薬に補益薬を加え、しばらく様子を見ることとし、約半年が経過した写真が下のものになる。

2018年のころのような、乾燥感は軽減し、剥がれる皮も薄くはなっているが、依然として剥脱している様子は継続していた。滋潤系の漢方を続けていても、これ以上、症状の好転は見込めないと判断し、今の状態で皮が乾燥する病因を突き止めることにした。
この症例では、皮が剥がれた後の赤みが強く、それが数日たって皮が再生してきても目に見えて残ることがあったことから、口唇の肉に不要な熱が蓄積することによって、皮の潤いが蒸発して乾燥してしまうのではないかと考察。この熱をどう処置するか?

一般的に熱が停滞していると津液を蒸して湿熱化し、それが黄色く厚みのある皮になったり、ゴワゴワした皮になるのだが、この症例では、そういう状態にはならず、乾燥感が強くなるだけだった。

とするならば、この熱は邪熱ではなく、本来、体内を循環して身体の各箇所を補陽する陽気ではないか、それが口唇の気血津液の流れの悪さのために一部が停滞し充血して、その血の熱が皮の乾燥を生み出しているのではないかと考え、傷寒論理論に基づいて熱の逃げどころを設定し、それに対する方剤を使用し始めた。

そうしたところ、徐々に口唇の赤みが消失し、それに伴って口唇の皮の状態も安定。最終的には本人も満足するくらい普通の口唇に回復したため、漢方相談を終了。無事に卒業することになった。

その状態の時の写真がこちら。

この症例を信じるかどうかは各個人の判断に任せるが、漢方を根気強く使用することで、時間はかかるがこの症例のように回復する事例があることは間違いない。