剥脱性口唇炎 ~10代女性の症例~

関東在住 10代女性

2017年6月ごろから口唇の乾燥が始まり、膜が張ったような状態が続くようになる。

本人は口唇の皮が気になり、頻繁に剥がすようになる。そうしたところ11月ごろから皮が異常に肥厚し始め、徐々に範囲が広がっていった。皮膚科を受診し、様々な外用薬を塗布するも改善の兆しなく、精神的にうつ状態になり抗不安薬を使用するまでに至る。

何とか治したいとネットを検索しているときに当店のことを知り、漢方療法を始めることになった。

初回相談当初の画像

初回相談から18年年末までは前任者が担当。それ以降は僕が担当することに。当初は活血剤や祛湿剤を主体に方剤を数種類組み合わせ、その時の状態に合わせて漢方を処方していた。それにより、徐々に口唇の皮は正常に戻っていった。

18年6月の画像

19年1月の画像

19年6月の画像

20年1月の画像

担当が僕に代わってからは、邪実はほとんど前任者が処方した漢方で駆逐できたと考え、皮の代謝を元に戻すことを主眼に補気・滋陰・活血の方剤を数種類使用していった。

そこから処方はあまり大きく変えず、辛抱強く継続してもらった結果、20年6月の段階で口唇の皮は剥がれることがなくなり、まったくもって普通の状態になっていたこと、本人も日常生活でほとんど口唇のことを気にすることがなくなったことから、これ以上漢方の継続は必要ないと判断し、漢方相談を卒業することになった。

剥脱性口唇炎の場合、脂漏性皮膚炎を併発している症例を数例経験しているが、剥脱性口唇炎を治すための漢方を服用することで脂漏性皮膚炎も同時に治っていく症例を全例で経験している。

言い換えれば、剥脱性口唇炎と脂漏性皮膚炎は、病理的につながっている側面があるということになる。

廣田漢方堂の本ブログでは、処方構成も含めて開示するように心がけているが、剥脱性口唇炎の場合、各症例によって処方が大きく異なること、剥脱性口唇炎の人はネットで詳細に調べる癖があり、下手に漢方の方剤を載せると、自分勝手に色々と試し、その結果、悪化させてしまう可能性も否定できないことから、使用方剤は一切掲載しないことにしているので、ご了承願いたい。

20年6月の画像

ピンボケの写真が多くなっているが、継続的に漢方相談を行っている場合は、このような画像でもある程度判断できるが、初回相談から病態把握ができるようになるまでの期間において、このようなピンボケの画像を送られてきても、全く本質つかめない。

そのため、漢方相談を打ち切ったケースもあるため、やはり画質はこの疾患の漢方相談の肝になることは間違いない。