剥脱性口唇炎で悩んでいる人の中には、肥厚する皮の見た目が気になって、浮いた皮をハサミでカットすることもあると思う。
今まではあまり、それらの行為について気に留めていなかったが、数百例に及ぶ剥脱性口唇炎の臨床を経験し、漢方が効果を示して症状が警戒していく人とそうでない人の差の1つにハサミでカットするか否かという違いがある可能性があることに気づいた。
考えてみれば、当たり前のことだが、口唇の皮がふやけやすくなる理由の1つとして、浮いた皮をカットした部分の断面は細胞組織がグチャグチャになって隙間だらけになっている。
この隙間から、家のひび割れたところから雨が侵入し、家の中に雨漏りが発生するがの如く、口唇の皮の至る所にワセリンの油分や水分が侵入して、皮の細胞がダメージを受けていく。そして前回のブログで書いたように、ふやける⇒乾燥を繰り返して、結果的に黄色く分厚いゴワゴワとした皮へと変化していくのだ。
もしあなたが剥脱性口唇炎に悩み、黄色くゴワゴワとした皮ができ、それが気になって仕方がなくても、安易にワセリンで保護したり、食事のたびに洗ったり、ハサミで浮いた部分をカットしたりしない方がいい。
それらの行為そのものが、あなたの口唇にダメージを与え、いつまで経っても好転するきっかけを得られず、症状が悪化したままになる可能性が高い。
浮いた唇の皮をカットして見た目を綺麗にしたい気持ちはよくわかるが、それによって生じる弊害は意外に大きいということを知っておいてほしいと思う。