長年剥脱性口唇炎に悩んでいる人の場合、表皮層の異常が真皮層(肌肉層)に及び、口唇の組織構造が大きく乱れている場合がある。
このようなときには、口唇の形がやや歪になってしまっている。(言い換えれば、ケガの傷跡がずっと残っているような状態)
このような状態になってしまった場合には、どれだけ漢方を使っても元の綺麗な状態に戻ることはあまり期待しない方がいい。
剥脱性口唇炎の影響が表皮層に留まっている場合には、まだ元の状態に戻る可能性はあるものの、それが真皮層にまで及び肉の形がいびつになっている場合は、影響が残ることを頭に入れておくようにしたい。
この疾患では、少しでも口唇の状態を良く見せたいという考えや保湿しておきたいという考えからワセリンなどを使用している人もいるが、それを漢方相談の際にやられると、「どんな状態なのか?」という本質が保湿剤のせいでマスクされてしまって実態を掴むことが全然できなくなる。
そこで実際の漢方相談では、14日間の口唇の皮の変化を写真に撮影し、それを店頭で確認することで初回である程度本質を掴めるように工夫しているのだが、たとえば写真のピントがずれていたり、保湿剤を塗布していることで変化を追いかけられなかったりした場合には、正確な判断ができないので注意が必要になる。
とにかくこの疾患を改善するためには、洋の東西に拘らず、あらゆる手段を使って本質を見極めて、それを改善し、口唇の組織構造の乱れを矯正していくしかない。
そのためには、経過の写真というのが非常に重要なヒントになることを忘れてはいけない。