経過の違いと信頼関係

同時期に剥脱性口唇炎の相談に来られた同年代の女性。それぞれ住んでいる地域は異なるものの、剥脱性口唇炎のタイプはほぼ同じ。症状が出現した時期もそこまで違いはなかった。

一通り漢方相談にて状況を説明し、それぞれに適した養生法を指導し、漢方を処方した。

遠方であったため、両名とも以後は電話相談となったが、一方はスムーズに症状が改善し、本人も大いに喜んでおられるが、もう一方はほとんど動きがない。

このような経過の違いは、剥脱性口唇炎の病因の根の深さ、傷の深さや本人の漢方に対する反応率など、様々な要因が関係しているように思う。

今回のケースでは、根の深さの違いが大きいのではないかと考えているが、仮に病因の根が深い場合には焦らずじっくりと腰を据えて漢方の服用を継続する以外に方法はないと感じている。

逆にいえば、動きが乏しい場合、焦りや不安が強く、それがこちらに対する不信感につながったりする場合には、漢方相談の継続をこちらからお断りする場合もある。(それがお互いのためになる。)

幸い、この方は、じっくりと腰を据えて服用を継続してくれるとのことなので、病因の根をきちんと掃除し、改善にもっていくことだけに注力できるので誠にありがたい。

人によって漢方の効果や症状の改善のスピードはそれぞれ異なる。重要なのは、他人の変化を指標にするのはなく、自分を軸に冷静になれるかどうかである。

僕は「いかにしてこの状況を打破するか?」という一点に集中し、これまでの知識と経験をその方に注ぎ込む以外できることはない。

この疾患を改善するためには互いの信頼関係が必要不可欠となってくる。