剥脱性口唇炎の場合、活血を主体に時間をかけて口唇の毛細血管循環を改善していくことで皮がおのずと薄くなっていく傾向があることは以前にもお伝えした通り。
ただしそれはあくまでも血脈を中心とした問題を解決したに過ぎず、長年の口唇異常にともなって生じている衛分や気分の病変の改善は別に行う必要がある。
では、その問題をどのように考えるのか??
ここで考えなければならないのが、口唇の皮の肥厚スピード・程度・色・大きさ、そして乾燥度合いなのである。
基本的には、肥厚するスピードが速く、範囲が広くて大きく、黄色く着色して強固に乾燥している場合には、熱により表層の粘膜が焼かれて傷津し、着色・乾燥すると考える。
一方、肥厚するスピードが遅く、範囲がそこまで広くなくて柔軟性のある皮がポロポロと取れる場合には気虚や血虚などにより表層の粘膜を養えないためにおこると考える。
このような分類を基礎に、熱の出どころ・熱の強さ・傷津の有無などを考えて、適切な生薬が配合されたエキス剤を選択していく。
また気虚や血虚の場合には、その比重・虚熱の有無などを判断しながらエキス剤を選択していく。
このときにはもちろんベース処方として活血剤を使用し、そこに上述の方剤をONしていく。
大切なことは、適当に漢方を使うのではなく、何をするにも症状から根拠を持ち、きちんとその根拠に合わせて組み合わせていくことである。