剥脱性口唇炎の場合、「見た目があまりにも気になるので、皮を剥がしてもよいか?」という質問をよく受ける。
特に進学や就職活動、実習活動で普段は接しない人たちと会ったりする際には、いつも以上に自分の唇に意識が行き、気になって仕方がなかったり、分厚い唇の皮で話をしにくかったり、食事をしにくかったりするのが嫌らしい。
基本的に、荒れた唇の皮を剥がし続けたことによって症状が進行し、剥脱性口唇炎になってしまった方々が少なからずいることを考えると、口唇の皮は安易に剥がすべきではない。
見た目が気になってどうしても剥がしたい場合、もしくは剥がさざるを得ない場合には、その行為によって症状の悪化もしくは遅延化を招く可能性があることを覚悟した上で剥がした方がよいだろう。
剥脱性口唇炎は自力では好転させることのできない慢性炎症が深くかかわっていることを考えると、できる限りその炎症を助長するような行為は避けたほうがいいだろう。
過去の相談事例においてもワセリンなどを塗布することでまだ剥がれるべきでない皮が油分を含んだためにズルっと向けた後、症状が再び悪化してしまった例などがある。
したがって剥脱性口唇炎の場合には、剥がすのではなく、浮いた部分をハサミなどでカットする方法が一番刺激が少なく安全な方法となる。
ただし、例外として、細菌感染を起こしているような状態で肥厚した皮と肌汁が混ざり、黄色くボコボコとした皮が形成されているような場合には、積極的に十分に皮をふやかしてから剥がし、その上で消毒等の適切な処置を行わなければならない。
当店における過去の剥脱性口唇炎において、無理に剥がすことで症状が好転したケースはないことを考えると、やはり例外でない限りはあまり触らないほうがよいと思われるので注意していただきたい。