考えて考えて考えまくる

剥脱性口唇炎は本当に一筋縄ではいかない疾患だ。

漢方で治療するといっても、基本的な中医学理論などまったく歯が立たない。口唇は脾胃の華という考え方から、脾胃を調節するような漢方を使っても全然改善しない。

それは経験を積めばすぐにわかる。

剥脱性口唇炎を改善しようとするならば、口唇の表皮の機能と構造、新陳代謝のリズム、荒れるメカニズム、唾液や外的水分の影響はもちろんのこと、その人の口唇の皮の状態、厚み、範囲、剥がれる大きさ、サイクル、肌汁の有無、密着力、ふやけやすさ、マスクの装着の有無など多岐にわたって確認することが必要だ。

それらの諸条件と舌診を中心とした体質を加味して、ようやく今、何をすべきかが見えてくる。

論文や理論、理屈などに振り回されることなく、臨床例をたくさん見ることで、起こっている現象を考えて考えて考えまくって、古来からある実証主義に基づいて方剤運用することがこの疾患に立ち向かう方法の1つだと感じている。