剥脱性口唇炎は、口唇に限局するアトピーではないか?

剥脱性口唇炎の相談を数多くこなしていると、その疾患の特徴がアトピー性皮膚炎と非常に酷似しているように思えて仕方がない。

例えば、夏場になると浸出液が出始め、滲出性口唇炎となったり、表皮の乾燥と脱落、ヒリヒリ感や熱感、腫れ感が出る部分など、剥脱性口唇炎とアトピー性皮膚炎との間には同じような現象が起こる。

そのため漢方療法では、アトピー性皮膚炎に準じた運用方法で対処することが多い。

ただ剥脱性口唇炎の場合には痒みを伴うことが少ないところが異なり、発症原因も遺伝性やストレスなどではなく、リップ・ステロイド・皮を剥がす行為・外傷などがきっかけでアレルギー反応や炎症が生じるという部分で異なる。

またアトピー性皮膚炎では、症状が出ている表皮の面積が比較的広いため、服用した漢方に対し敏感に反応するという特徴があるが、剥脱性口唇炎の場合には、症状が出ている表皮面積は非常に狭いため、服用した漢方に対し、反応が鈍感であるという特徴を持つ。

さらに皮膚と口唇との皮膚構造の違い、ターンオーバーにかかる日数の違いによって、患部の所見に違いが出ているのではないかと考えている。

今までの経験から、剥脱性口唇炎は、何かのきっかけで生じたアレルギー反応および炎症反応による疾患であり、夏場に悪化したりする傾向があることから気温・湿度・気圧、また紫外線などの影響を受けたり、冬場の乾燥や気温低下に伴う毛細血管の収縮で生じる血流の悪化によって症状が変化することから、根本的にはアトピー性皮膚炎と同じような病態であるような気がしてならない。