例年、6月後半~8月までは口唇炎が非常に悪化しやすい季節になるので本当に困る。
とくに紫外線の影響および気温・気圧・湿度の影響などから落ち着いていた口唇の浸出液や炎症が一気に爆発して悪化する人が続出する傾向がみられる。
これはアトピー性皮膚炎が悪化しやすい時期であることも関係しているのだが、中医学的には暑湿や暑温などの邪によって毛細血管が拡張し、そこから血漿が漏れ、表皮層に溢れてしまった結果、浸出液が出現したり、毛細血管拡張に伴い炎症性物質が拡散し炎症が励起されるという風に考えている。
このような場合、炎症の程度、浸出液の状況を踏まえて、清熱利湿の類の漢方を用いることが必須となる。
しかしながら、アトピー性皮膚炎とは違い、口唇は気分の表皮層が非常に脆弱であるがゆえに、アトピー性皮膚炎なら比較的簡単に止まる浸出液がなかなか止められないため、口唇炎の炎症や浸出液を止めるのには非常に神経を消耗する。
相談者本人も日ごとにどんどん悪化する状況に大きな不安を覚えるため、何とか早くこの状況を脱したいのだが、なかなかそう簡単に事が運ばないのが辛いところ。
とにかくこの季節は、そういうことが起こりやすいということをしっかりと頭に留めて置き、場合によっては紫外線をブロックするために日焼け止め成分の入ったリップクリームなどで炎症が励起されないように予防しておくのも1つの手段として提案している。ワセリンなどは紫外線を吸収し、日焼けクリームのような働きをしてしまう可能性も否定できないので注意が必要だ。
またこの季節に症状が悪化するような場合には、パターン化し、毎年同じ時期に悪化することも十分に考えられるので、今、症状が悪化しているような人は十分に用心していただきたい。