剥脱性口唇炎の対策と漢方治療

剥脱性口唇炎になった場合の
唇のケアの方法

  • 口唇の皮は自分で剝がしてもよいのか?
  • リップやワセリン、その他の外用薬を使用してもよいのか?
  • 食事や飲料、入浴、洗顔、歯磨きなどで唇の皮がふやけた場合、どうすればよいか?
  • など

剥脱性口唇炎の場合、ほとんどの相談者から以上のようなご質問がございます。
剥脱性口唇炎になった場合の口唇のケアについては、自分にあった適切な対処法がわからないため、インターネットなどで情報を集め、自己流でケアされているケースが圧倒的に多いという印象があります。
口唇の適切なケアについては、それぞれの剥脱性口唇炎の状況に応じて大きく異なります。
皮膚科などのクリニックで剥脱性口唇炎と診断されてご相談に来られる方は非常に珍しく、ほとんどの方はインターネットで調べ、「自分は剥脱性口唇炎である」として相談に来られます。
その中には明らかに剥脱性口唇炎とは関係のない疾患の場合もあり、自己流のケアの仕方が反って症状を悪化させていることもあります。
口唇のケアの仕方によって、当然、症状が好転することもあります。
大切なことは、自分の今の口唇の状態をしっかりと認識することと適切なケアの仕方を知ることです。

また、風邪を引いたり、旅行へ行ったり、体調を崩したり、ストレスがあったり、月経のリズムなどで口唇の状態が変化する場合もありますので、その際には状況に合わせた方法でケアする必要があります。

剥脱性口唇炎の漢方療法

私たちは漢方薬(一部サプリメント)を使用して剥脱性口唇炎を治していきます。
これまでの経験から、剥脱性口唇炎は大まかに3つの段階に分類していきます。

① 急性炎症期(急性期)

急性口唇炎の状況が治まっておらず、唇の皮が剥がれるたびに赤み・痛み・熱感・ヒリヒリ感・腫れぼったさが出たりする状態です。
またひどい場合には唇が細菌感染を起こして化膿し膿汁がダラダラと出たり、細菌感染を起こしていなくてもリンパ液が漏れたり、出血したりしていることもあります。
この段階で適切な治療を行うことができれば、そこから慢性炎症に移行し剥脱性口唇炎に進展することはありません。また急性口唇炎に伴う口唇の剥脱は剥脱性口唇炎による剥脱とはメカニズムが全く異なります。この場合には、西洋医学による治療を最優先に行い、化膿している場合には大病院での細菌培養検査による菌の同定および効果のある抗生物質の使用が必要であるため、病院への受診勧告を行います。
そのうえで漢方では口唇の炎症を鎮めて、傷の修復を促進し、慢性炎症に移行しないようにしていきます。
それと同時に化膿を起こしている場合の口唇の皮のケアの方法、リンパ液の漏出がある場合のケアの方法、炎症が酷い場合のケアの方法など、その状況に応じた適切な対処法をアドバイスしております。

② 組織破壊期(亜急性期)

口唇炎の経過が比較的長くなると、急性炎症から慢性炎症に移行している可能性が高くなります。
この場合、慢性炎症によって新陳代謝が正常に行われなくなり、組織の破壊が延々と続き、炎症性物質が出続けるため、いつまで経っても炎症のサイクルから抜け出すことができなくなります。破壊された組織が患部に残ることによって、正常な新陳代謝および血流が阻害され、患部では炎症性物質の停滞、血流の停滞が生じます。
そのため、通常4日程度で新しく生まれ変わる口唇の皮の新陳代謝のサイクルが乱れ、口唇の皮が肥厚し始め、剥脱性口唇炎に移行していきます。
また炎症性物質が他の口唇の部位に付着すると免疫系がそれに反応して誤爆をはじめ、患部の範囲が広がって行く現象が見られることがあります。
これら免疫系の誤爆により、最初は下唇の一部分だった剥脱性口唇炎が知らないうちに下唇全体に広がっていたり、上唇にも飛び火するようになります。
この状態になると、西洋医学的な治療にはほとんど反応しなくなります。
東洋医学では、まず口唇の皮の状態(剥脱するサイクル、剥がれた皮の色調、乾燥度、剥脱後の疼痛・熱感・腫脹・色調、皮の密着度、剥がれ方など)を詳細に確認します。
それにより、破壊された組織や血流の阻害の程度を明らかにし、炎症・新陳代謝・血流停滞といった側面を改善するヒントを掴み、それを改善するための漢方薬を使用し、症状の改善を行っていきます。
組織破壊された部分がよくなるまでには、個人差がとてもあるため、人によっては数か月で口唇の肥厚が改善する場合が多いですが、中には1年以上かかる場合もあります。
焦らずにじっくりと治していく心構えが大切です。

とくにこの時期には、口唇の真皮層(血分)に熱が籠り、その熱をうまく逃がすことができないために、その熱が表皮層(気分)に影響し、表皮の新陳代謝が亢進し、皮の肥厚・黄色味を帯びる・強い乾燥傾向を示すなどの症状が起こってきます。

口唇の状態の変化については、毎日決まった時間に写真を撮ることによって、漢方薬を服用し始めてからの変化を客観的に確認することができます。多くの場合、口唇の状態にあった漢方薬を服用することによって、少しずつ変化が見られるようになってきます。フィットする漢方薬が見つかるまでは、7日~14日単位で当店に通っていただくか、電話相談を行っていただく必要がありますが、症状が改善してきた場合には、1か月単位となります。

③ 新陳代謝活性期(慢性期)

組織破壊と血流の阻害によって剥脱性口唇炎が生じていないにもかかわらず、口唇の皮が一定サイクルで剥がれる場合には、慢性炎症により口唇の新陳代謝が亢進し、老廃物が蓄積することによって症状が引き起こされている場合があります。
この場合には、組織破壊期の口唇の状態と明らかに状態が異なり、口唇の皮の肥厚は、そこまで酷くなく、水が触れるたびに皮がふやけたりする弱々しい状態となっていることが多くなります。
剥脱する皮の大きさ・厚み・サイクルは口唇の部位によっても異なりますが、この状態の方の多くは、ワセリンなどの保湿剤を塗布すると一見すると普通の口唇に見えます。

とくにこの時期の剥脱性口唇炎では、炎症を持続させる熱はさほど強くありませんが、それらの影響により新陳代謝を行うための材料やエネルギーが不足し、口唇の皮を元に戻すことができなくなっています。したがってこのときには、患部に蓄積している余分な熱を軽く冷ますと同時に新陳代謝を元に戻す材料やエネルギーを補う漢方薬を使用し、口唇の組織を立て直していきます。

当店での剥脱性口唇炎のご相談はほとんどの場合、①~③のパターンのいずれかに当てはまります。時にそれらが重なって生じている場合もありますので、個々の状況に合わせて適切な漢方薬とサプリメントを使っていく必要があります。

当店での剥脱性口唇炎の治療実績に関して

これまでの相談事例は女性からのご相談が圧倒的に多いです。
そのため男性の症例は少ないですが、女性は症例も豊富で、改善実績も多いため、服用開始後、数か月で効果を実感していただいております。
剥脱性口唇炎は西洋医学では治りにくく、外見上の問題が大きいため、精神的に非常にストレスを抱えている方が多いのが実情です。
当店では、少しでも多くの方によくなっていただけるよう漢方を用いて剥脱性口唇炎のご相談に乗っておりますので、治したいというお気持ちをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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