剥脱性口唇炎の漢方相談では、皮が肥厚するだけでなく、時間の経過とともに皮が黄色くゴワゴワになって歪な状態になっているケースがある。
剥脱性口唇炎では、半透明~白の皮が7~14日程度のサイクルで全体的に厚くなり、ブロック状で剥がれていくのが通常のパターンなのだが、このような黄色くゴワゴワと歪になる場合には、確実に「水分」が関与している。
このような口唇炎を見始めたころは、なぜこんなにゴワゴワになって着色するのか?
そのメカニズムが具体的につかめなかったのだが、症例数を経験したことによって、「水分」が関与していることに気づいた。
そしてその水分は、体内由来のものと体外由来のもの、または唾液によるものに大別できる。
体内由来のものは、口唇炎によって体内からリンパ液や血漿液など体液が漏れ出ているパターン。
体外由来のものは、外からの湿気、飲食物の水分、入浴や洗顔、歯磨きの際の水分、マスクによる湿気などが皮の細胞内に侵入して起こる。
唾液は上下の口唇の重なる部分に特に影響を与え、唾液には様々な成分が含まれるため、重なる部分が特にゴワゴワになる。
黄色くゴワゴワになる剥脱性口唇炎では、これらのうち、どれが関与しているのか、またその原因は何かをきちんと見極め、日常生活でできる予防を徹底的に行うと同時に、原因に応じた外用薬や漢方が必要となってくる。
ゴワゴワになる皮は見た目が非常に汚くなるので、精神的苦痛も強くなりがちだが、しっかりとした対応をすれば、改善することは少なくない。ただし原因を見つけるのに時間がかかったり、対策を練るのに一筋縄ではいかないことがあるので、できればじっくり、そしてトコトン向き合って相談に乗ってくれるところで加療することが求められる。