浸出液について ~その2~
炎症系の浸出液の場合には、とにかく炎症を落ち着かせることが大事。
難治性に陥った場合には、前回の投稿でも記載したように標準治療が無効で、ステロイドや抗生物質を使っても一向に落ち着く様子が見られなくなります。
この場合、漠然と外用薬を使用し続けるのは、逆に悪手となり、口唇表皮に深刻なダメージを及ぼすことがあります。
炎症系の浸出液の場合には、口唇の赤味や腫れ、多量の浸出液による凸凹感、着色などが良く観察できるため、それほど鑑別は難しくありません。
一方、炎症が主ではなく、自身の免疫力低下に伴うカブレの場合は、厄介です。
免疫力低下に伴う外的刺激の深部浸透が原因で、反応したくもないのに反応せざるを得ない場合があるのです。
この場合、上述のような口唇の赤味や腫れ、多量の浸出液が出るなどの特徴はなくなり、口唇の色調はどちらかと言えば薄ピンク(血色が悪い)、腫れなく、少量の浸出液が延々と出続けるケースが多いです。
口唇表皮組織が縦筋に割れたり、口内(粘膜)と口外(表皮)の境目の部分(ここで口唇表皮細胞の種類が変わります)の接合力が低下し、そんなところから唾液が侵入していきます。
唾液が境目や割れ目から侵入することは、剥脱性口唇炎ではよくあることですが、免疫力がしっかりしている場合は、表層の部分で唾液の深部侵入をブロックしたり、免疫反応を起こす以前にそれらの障害を掃除できるので大丈夫なのです。
しかし免疫力が低下している人の場合、表層での唾液中の雑菌や酵素、そのほかの成分の適切な処理ができず、それらが深部にまで侵入してしまうことにより、起こしたくもない免疫反応が起こり、それが原因でダラダラと浸出液が出続けることになるのです。
この場合には、ステロイドで免疫抑制をかけることは逆効果になりかねず、それらを使用することで症状が悪化することもあります。
またステロイドは傷口の修復を遅らせる作用もあるため、免疫力低下を起こしている場合には、深部に侵入する微細な傷等の修復が遅れるという危険性もはらんでいます。
免疫力が低下し、唾液などでかぶれが生じ、浸出液が出ているような場合には、とにかく自身の生活環境・生活習慣を整え、睡眠・飲食・運動などを含めて免疫力をできるだけ高くするような生活リズムを心掛けると同時にそれらを補助する漢方を使用して、唾液などでかぶれない状態に持っていくことが重要です。
剥脱性口唇炎で浸出液が出ているような場合、正常な口唇にするためには、とにかく浸出液を止めないことには何も前に進まないです。
口唇表皮組織が破壊され、浸出液によって凹凸ができたり、著しい着色が見られるような場合、人はそれを隠したくなるわけです。その1番の方法が「マスク」です。
浸出液が止まらなくなっている人は本当にマスクの着用率が高い。
これが症状を悪化させる最大の要因になっている可能性が高いにもかかわらず、マスクを使って隠す(もしくは仕事でどうしてもマスクをしなければならない)ような状況を作っています。
コロナ禍のときに季節問わず、四六時中マスクの着用を推奨されていましたが、本当にその時期に浸出液が止まらなくなった剥脱性口唇炎の相談が多かったです。
その時に比べ、今は少なくなってきている印象はありますが、やはりマスクの着用が頻繁・長時間になる人は、浸出液が止まらなくなるパターンとなる場合があります。
マスクをすることでマスク内の湿度が上昇する(蒸れる)と同時に呼吸が苦しく口呼吸となり、口腔を潤す水分が蒸発し、相対的に口腔内の雑菌・酵素・その他の成分の濃度濃縮が生じ、それが影響して口腔内環境が劣悪化⇒それらが粘膜・表皮移行部ならびに口唇の割れ目から浸透して炎症を起こしたり、深部侵入してかぶれてしまう。
こちらの印象でもマスクの使用をやめさせた場合と仕事上などの都合でやめられない場合とでは、浸出液が止まるまでにかかる期間が全く違います。
浸出液が出ているような場合には、それ以外にも瘡蓋状になった表皮をそのままにしておくのか、剥がした方が良いのか、日常のケアの仕方など、浸出液を止めるためには状況に応じた適切な処置が必要になってきます。
浸出液が出ている場合には、日常生活の中にその原因が潜んでいる可能性があるので、ぜひ気を付けてほしいものです。

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