浸出液について ~その1~
剥脱性口唇炎では、全体的・局所的に限らず、何らかの原因により浸出液が出ているケースが少なからずあります。
浸出液が出ている場合には、とにかくこの状態から離脱しないことには何も始まりません。
簡単に浸出液が出ているといっても、わかりやすい例ではさほど判断は難しくないのですが、局所的でごく少量の場合などでは、唾液などによる着色・肥厚との判別が非常に難しいこともあります。
そのような難しい判断を正確に行うために、毎日の口唇の画像が必要になってくるのです。したがって毎日の画像が撮影できていなかったり、こちらに送信されるときに日付がなかったり、データがバラバラで順を追って確認することができなかったりすると、本当に正確な判断ができなくなります。
剥脱性口唇炎で画像が何よりも大切だと考えている理由は、こういうところにあるわけです。
さて、浸出液が出ている場合には、一般的に「炎症」を起こしている状態と考えてよいと思います。
分かりやすく、口唇が腫れ、赤味を帯び、多量の浸出液が出ている場合は、炎症を起こしているとして考え、とにかくこの炎症を落ち着かせることから始めるわけです。
しかしこのようなパターンに陥っている相談者は、ほぼ全員が皮膚科等の受診をされ、ステロイドをはじめ、様々な外用薬・内服薬を使用した経歴が当然あるわけです。
薬剤師として考えるなら、皮膚表面で生じている炎症に対し、これらの治療が奏効せず、延々と症状が繰り返されていることに疑問が生じます。
外用のステロイドなどは、非常に切れ味が鋭く、単回の使用でも抜群の効果を示し、浸出液が出ているような炎症を抑える作用はかなり優れています。
それを短期間に集中的に使えば、少なくとも炎症をコントロールすることは難しくないはずです。
当薬局では、難治性の剥脱性口唇炎の相談がメインのため、正確なことはわかりませんが、皮膚科での治療でほとんどの人はすんなり治っているはずです。
なのになぜか難治性に陥るパターンがある。
いったん難治性になると、ステロイドや抗生物質が延々と処方され続け、それでも全く改善せず、数か月長ければ数年にわたって浸出液が止まっていない症例すらあります。
これら難治性に陥った症例を治すためには、標準的な治療をしていても埒があきません。その状況に応じて、炎症からの離脱・バリア機能の回復・外的刺激に対する抵抗性・口唇表皮組織の正常化など、多岐にわたって考えていかなければ、ずっと同じことが繰り返されるわけです。
ここまでの状況になってしまうと自然に改善するというのはほぼ不可能に近く、何らかの医療介入をすることが必要になってくるわけですが、標準的治療では太刀打ちできないわけですから、そりゃもう難しいわけです。
当然、こちら側の心構えとして、メインで使用するのは漢方薬とはいえ、内覆の漢方オンリーでステロイドでも抑えられない炎症、しかも多量の浸出液が出ているような状況を改善することはできません。
過去にチャレンジしたことは何度もありますが、すべて失敗しています。
その経験から、運よく、剥脱性口唇炎は目で見て、手で触れ、外用薬が使用できる疾患という利点があるわけですから、これを使わない手はありません。
しかし何度も言っているように、ステロイドや抗生物質を使用した経歴は過去にほぼ全員が持っている状況で、それが効いていない事実もあるわけです。
ではそのような状況下で、どうするのか・・・
ここで効いてくるのは、「経験」です。
当然、こちらが知り得る限りの「経験則」で対応しても、まったくもって改善しない例があることも事実ですが、それでもかなりの割合で改善させることができているのもまた事実なので、僕が持っている「経験」は無駄なものではないと言えます。(完ぺきではないですけどね)
この外用薬の使用に関する「経験」と炎症をコントロールし、バリア機能・外的刺激・皮膚組織の正常化等を考慮した漢方薬を使用していくことによって、難治性の炎症からの離脱を図るというのが、僕の1つの方法論となっています。
どこにも治し方なんて書いていないところから、1つ1つの症例で考え、運用し、そこで得た結果をもとに反省と考察を重ね、さらに実証し、何年もかけて比較的精度の高い方法論を構築してきたわけです。
これらは王道の漢方療法とは異なり、邪道と言えるかもしれませんが、僕からすれば改善すればよいので、そんなしょーもないことにこだわって視野狭窄に陥り、結果として相談者に迷惑をかけてしまう方がよっぽど怖いです。
浸出液が出ている場合には、とにかくまず皮膚科等で標準的治療をしっかりと受け、難治性に陥る前に治してしまうことが大切です。これでほぼ全員が治るのですから、ぜひそうしてください。
万が一、難治性になった場合には、そうなった要因が必ずどこかにあるはずです。その要因を解決しない限り、何年も続いてしまう危険性が出てきてしまうので、延々と不安にさいなまれることのないよう、早めに適切な対処をしてほしいと思います。
つづく・・・

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